化学工業日報にブレント・ブランチャード SVPインタビュー記事が掲載されました

米LiDAR ベンチャーAEye
ブレント・ブランチャード シニア副社長
長距離と高精細両立
交通インフラや鉄道に注力
独自開発のアダプティブ(適応型)LiDARを武器に、シェア獲得を目指す米国ベンチャーのAEye(エーアイ)社。自動車向けは技術ライセンスを行い、独コンチネンタルと長距離・高性能ライダーを共同開発、2024年の量産車搭載へ開発を加速している。
産業分野は、非車載向けライダー「4Sight M」を自社販売する。
非自動車部門の責任者を務めるブレント・ブランチャード シニア副社長(SVP) 兼インダストリアル&モビリティ部門ジェネラルマネージャーに、現状と今後の展望を聞いた。
―ライダー市場の成長について。
「世界のライダーの市場規模は、2030年に自動車向けは180億ドル、 産業向けが170億ドルに成長するとみている。そのなかで、当社は米国、欧州 日本、韓国のマーケットに注力していく」
―AEyeのライダーの強みとは。
「4Sightインテリジェントセンシングプラットフォームは、ソフトウエア設定が可能な唯一の適応型ライダーソリューション。500mを超える長距離の検知と、高精細のデータ取得が同時に可能なことが強みだ。ソフトウエアで構成できるため、異なるアプリケーション向けに一つのハードウェアで必要な性能を満たすことができる」
―産業向けの4Sight Mは現在、サンプル出荷を行っています。
「日本ではまた事業に着手したばかりだが、米国と欧州では大きく進捗しており、22年10~12月期に量産が始まる。ユーザーからは、他社のライダーと比較してより長距離を高精細に捉えることができる点で高い評価を得ている。正式出荷前で価格はまだ公表していないが、他社のライダーと比べても遜色ない価格で提供できると考えている」
―日本市場の位置づけは。
「日本は未来社会のコンセプト「Society5.0」の実現に政府主導で取り組んでいる。AEyeのセンサーや技術が生かせる点でも、大きな市場だ。日本では、産業向けはとくにスマートシティ、ITS(高度道路交通システム)などの交通インフラや鉄道が注力分野。自動車向けは、Tier1とともに日本市場に向けての活動も進めている」
―日本での事業の進捗はいかがですか。
「日本のマーケットでは自動車と産業向けで展開していくが、自動車向けは引き合いのあった数々のユーザーと会話をしている。 産業向けはこれから立ち上げていく段階。重要なマーケットであり、必要な投資は今後も継続していく」
―産業向けライダーは、自社で販売も行います。
「一番の課題は、システムインテグレーター(SIer) やユーザーにライダーで何ができるのか、その可能性を広く認知してもらうことだ。 展示会にも出展して、 エコシステムのなかでユーザーにより理解を深めてもらい、適応型ライダーの可能性をアピールしていくことが重要になる。米国や欧州のマーケットと同様に、SIerとの関係性を重視して協力関係を強固にしていきたい」
―ITSなどに加えて、日本では鉄道が大きなマーケットです。
「鉄道の自動化が進むと、遠距離と、電車周辺やレールなど近距離の状況を同時に把握する必要があり、我々のライダーは一つの解決策になる。路切では電車の接近を検知して、渡ろうとする自動車や歩行者に警報を出す使い方もできる。我々のライダーはソリッドステート式で、他社の機械式ライダーと比べても製品寿命の点で有利。上市までには信頼性の面もしっかりとクリアしたい」
(聞き手=黒川公美子)